妊娠には基礎体温表が重要
Infertility Treatment

妊娠のためには、何よりもいい卵が育つことが大事です。それは、基礎体温表である程度つかむことができます。

基礎体温表をつけるメリット

基礎体温とは、朝目覚めたときに測る体温のことです。女性はホルモンの分泌によって体温が微妙に変化するため、基礎体温表をつけてグラフにすると、排卵の有無や月経の周期がおおまかにつかめます。

体温は、月経開始から排卵前までは低温を示し(低温相)、排卵の頃に上昇して、排卵後は黄体ホルモンの影響で高温を維持します(高温相)。

[基礎体温を記録する目的]

  • (1)データを残すことができる

    体温の記録はもちろん、体調の変化なども記録しておきます。
    また、いつ、どんな検査や治療をしたか、検査結果の数値などを記入して、手元に保管することができます。転院の際には、同じ検査を繰り返して受けなくてもすみ、妊娠したら、2人目の治療の参考にも活用できます。

  • (2)卵巣の働きや卵の質の予測ができる

    当院では、3000名以上の基礎体温から、妊娠したときには特有の基礎体温のパターンがあることを発見しました。
    そのパターンを示すときは、タイミングがずれていても妊娠していることが多く、逆にタイミングが合っていて性生活の回数が多くても、そのパターンになっていない場合は、なかなか妊娠していません。
    基礎体温表をチェックして、妊娠するパターンの基礎体温に近づける治療をしていきます。

妊娠のしくみとホルモン

月経が始まると卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きにより、卵巣の中で卵が育ちます。
月経開始から2週間ほどで卵を包む卵胞の大きさが18mm以上になると、成熟した卵と見なします。これは超音波検査で確認できます。

卵が成熟してくると、子宮の入り口である頸管部分にも変化があらわれます。
子宮頸管は、通常は雑菌などの侵入を防ぐため酸性を保っていて、精子はうまく進むことができません。しかし、排卵が近づくと、子宮頸管はアルカリ性に変化し、精子の進入を助けます。この時期、頸管からの分泌液(頸管粘液)が増加します。いわゆるおりものです。

射精によって女性の体内に入った精子は、子宮頸管から子宮へと進み、卵管に向かい、そこで排卵されてくる卵を待ちます。精子の寿命は3~4日といわれますが、中には1週間くらい元気なケースもあります。

やがて、卵巣では卵胞が破れて排卵し、中の卵は卵管に取り込まれ、待っていた精子と出会って受精。数日後に子宮に着床すれば妊娠です。

一方、卵巣には排卵後にからになった卵胞の袋が残り、これが黄体となって黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この黄体ホルモンが体温を上昇させて、着床をサポートします。
排卵後に体温が上がり、高温相がきれいに維持されるのは、しっかりしたいい黄体ができたからだと考えられます。それはまた、排卵前の卵がよかった結果だといえます。

このように、十分に成熟して、よい黄体となる卵が受精した場合、妊娠につながるグレードのよい受精卵ができたと考えられます。

この考え方は、体外受精での凍結胚移植にも応用しています。

妊娠に導く基礎体温表のパターン

これまで当院で妊娠した3000人以上のデータを調べたところ、妊娠しやすい基礎体温表のパターンが浮かび上がりました。

[妊娠する基礎体温表のパターン]

  • (1) 排卵日の頃は、2~3日で一気に37℃近くに体温が上昇する。
  • (2) 高温相が安定し、37℃前後の体温を保っている。
  • (3) 高温相が14日以上続いている。

また、妊娠した426人の排卵を調べた結果、その多くが月経開始から13~16日目に排卵していました。

排卵までの日数が長くても短くても妊娠にはつながりにくく、たとえ基礎体温表が2相性になっていても排卵時期の体温の上昇がだらだらと長びくと妊娠に至らないことが多いことがわかりました。

つまり、妊娠するには基礎体温を「妊娠のパターン」に近づけることが大事なのです。
また、いい卵が育ったかどうかは、基礎体温表である程度は確認ができます。

もちろん、男性側に無精子症などの大きな原因がないこと、女性の卵管が詰まっていないことが前提です。これらは検査でわかります。

基礎体温表で見る妊娠のパターン

妊娠した際の基礎体温表の例を紹介します。

[実例1]自然周期による妊娠の基礎体温表

[実例2]治療による妊娠の基礎体温表

基礎体温の測り方

朝、目が覚めたとき、できるだけ体を動かさないで、蒲団の中で横になったまま測ります。体温計は目盛りの細かい婦人体温計を使います。
「毎日、同じ時間にちゃんとつけなければ」と神経質にならなくて大丈夫です。大事なのは排卵前後と高温になってからで、そのあたりのグラフで卵の質を判断します。
まずは、自分の卵巣のリズムを知ることが目的です。

基礎体温表に記入を続けることで、排卵までに20日以上かかる、高温期が短い、高温期の凸凹が激しいなど、マイナス点が見つかれば、それを修正する治療をします。基礎体温表は、そのための糸口なのです。